結論:JumpcutからMaccyへの乗り換えは10分ほどで終わります。Maccy Appをインストールし、Jumpcutで慣れたキー操作に近いホットキーを割り当て、無視するアプリを設定したら、最後にJumpcutをログイン項目から外すだけです。Jumpcutの履歴は自動では引き継がれませんが、その代わりに検索、ピン留め、画像・ファイルへの対応、そして今もメンテナンスされているクリップボードマネージャが手に入ります。
そもそも、なぜJumpcutをやめるのか?
Jumpcutは、小さくてオープンソースの愛されてきたクリップボードスタックです。直近N件のテキストを保持し、フローティングのベゼルでパラパラとめくれる。仕事は1つだけ、それをきちんとこなします。今も問題なく使えているなら、慌てて乗り換える必要はありません。
乗り換える理由は、たいてい次の3つのどれかです。
- メンテナンス状況。Jumpcutの開発は長らく動きが止まっている状態です。メンテされていないアプリにとって、macOSのメジャーアップデートは毎回賭けのようなものです。
- Apple Siliconネイティブ対応と最新macOSでの挙動。お使いのJumpcutがネイティブで動いているのか、Rosetta経由なのかを確認してみてください。
- 検索。クリップが数十件に増えると、スタックをめくって探すのはつらくなります。3文字打って目的のものに辿り着くほうが断然速いです。
JumpcutとMaccyは、普段使いでどう違う?
根本的な考え方が違います。Jumpcutはめくっていくスタック、Maccy Macは検索するリストです。どちらもメニューバー常駐で、無料のオープンソース、データはMacの中に保存されます。
| Jumpcutでの操作 | Maccyでの対応 | 補足 |
|---|---|---|
| ホットキーでベゼルが出る | ホットキーで検索できるリストが出る | Maccyのデフォルトは⇧⌘C。設定から変更できます。 |
| 矢印キーでクリップをめくり、キーを離してペースト | 矢印キー、または文字入力で絞り込み、Returnで決定 | 入力した瞬間に絞り込まれます。検索を始めるための操作は不要です。 |
| テキストのみ | テキスト、画像、ファイル、リッチテキスト | 種類ごとの設定は「設定 → Storage」にあります。 |
| 履歴の件数が固定 | 履歴の件数を変更可能 | デフォルトは200件です。 |
| お気に入りを残す手段がない | アイテムをピン留め(⌥P) | ピン留めしたものは、ほかの履歴が流れていっても残り続けます。 |
| 不要なクリップを削除 | ハイライトしたアイテムで⌥Delete | うっかりコピーしてしまったものを消すのに便利です。 |
どうやって乗り換える?10分で終わる手順
1. Jumpcutに残っている必要なものを救出する
私の知る限り、Maccy ClipboardにはJumpcutの履歴をインポートする機能はありません。Jumpcutを終了する前にリストを開き、本当に必要なクリップだけコピーし直しておきましょう。Maccyが起動していれば、コピーした内容はそのままMaccyに取り込まれます。正直なところ、本当に必要だったのは3件ほど、という人がほとんどです。
2. Maccyをインストールする
ふだんのソフトの管理方法に合わせて、好きな方法を選んでください。
- Homebrew:
brew install maccy - GitHubのReleases:最新ビルドを無料でダウンロードできます。
- Mac App Store:中身は同じアプリで、開発を支援できる有料版が用意されています。
最近のMaccyは、比較的新しいmacOSを必要とします。古いシステムを使っている場合は、これがJumpcutにもうしばらく留まる唯一の現実的な理由になります。
3. 指に馴染むホットキーを設定する
Maccyの設定を開き、「General」にあるホットキーのレコーダーで設定します。Jumpcutのホットキーに慣れているなら、それに近いものを割り当てておけば、手が覚え直す必要はありません。ほかのグローバルショートカットと衝突しないかも確認しましょう。Spotlight、スクリーンショット系のツール、ウインドウ管理アプリあたりが、よくある衝突相手です。
4. 自動ペーストを使うならアクセシビリティの権限を許可する
Maccyは、選択したアイテムをクリップボードに置くだけでなく、最前面のアプリへそのままペーストすることもできます。そのためには、「システム設定 → プライバシーとセキュリティ → アクセシビリティ」でMaccyを許可する必要があります。許可しなくてもMaccyは使えます。その場合は、アイテムを選んだあとに自分で⌘Vを押すことになります。
5. Maccyに無視させる対象を設定する
Jumpcutユーザーが飛ばしがちなのがこのステップですが、Maccyの強みが出るのもここです。「設定 → Ignore」では、特定のアプリ(たとえばパスワードマネージャ)や、特定のペーストボードタイプを除外できます。また、Maccyは「秘匿(concealed)」「一時的(transient)」なクリップボード項目についてのコミュニティの慣例にも従っているため、行儀のよいパスワードマネージャの内容は、デフォルトで履歴に残りません。正規表現に一致するコピーを無視する方法もあります。
6. 検索モードを選ぶ
Maccyには、完全一致、あいまい検索、正規表現ベースなど、複数のマッチング方式があります。まずはデフォルトのままで使ってみてください。URL、ID、ログの行など、似た文字列を大量にコピーする人は、より厳密なモードを試す価値があります。
7. Jumpcutをきれいに片付ける
- メニューバーのアイコンからJumpcutを終了する。
- 「システム設定 → 一般 → ログイン項目」から削除する。
- アプリをゴミ箱に入れる。
- 必要なら、
~/Library/Preferences/にある設定ファイルも削除する。
そのうえで、Maccyをログイン項目に追加するか、Maccy自身の「ログイン時に起動」オプションをオンにしておけば、再起動後もすぐ使えます。
Jumpcutで惜しくなるものは?
ここは正直に書いておくべきところです。挙げておきたいのは3点です。
- ベゼルUI。Jumpcutのフローティング表示は個性的で、直近の数件をさっとめくるには速い方式です。Maccyは一般的なドロップダウン型のリストです。検索には向いていますが、同じ感触ではありません。
- 徹底したミニマルさ。Jumpcutは小さく、ほとんど余計なことをしません。Maccyも軽量ですが、オプションが多い分、目を通す設定項目も増えます。
- これまでの履歴。手作業でコピーし直さない限り、置いていくことになります。
乗り換えで得られるものは?
- スクロールに代わる検索。Maccyを開いて数文字打ち、Returnを押すだけ。
- ピン留め。メールの署名、SQLのスニペット、1日に10回貼るAPIのURLなどを、すぐ手の届く場所に置いておけます。
- テキスト以外にも対応。スクリーンショット、ファイル、書式付きテキストも同じ履歴に入ります。
- 目に見えるプライバシー設定。アプリ単位・タイプ単位の無視ルールがあり、データはすべてローカルに保存され、アカウントもクラウド同期もありません。
- 活発に開発されているプロジェクト。公開リポジトリがあり、バグ報告と修正が行われています。
Maccyはあなたに合っている?
無料でオープンソース、ローカルファーストのクリップボードマネージャがほしく、スクロールより検索のほうが性に合うなら、Maccyがおすすめです。macOSのバージョンが古くて最新のMaccyが動かない場合や、ベゼルを使うこと自体がJumpcutを選ぶ理由になっている場合は、Jumpcutのままで構いません。複数デバイス間の同期が必要な場合は、どちらのアプリも対応していないので、別のツールを探すことになります。
よくある質問
Jumpcutの履歴をMaccyにインポートできますか?
標準のインポート機能はないと思われます。Jumpcutをアンインストールする前に、必要なクリップをコピーし直してください。クリップボードに入った時点で、Maccyが取り込んでくれます。
MaccyはJumpcutと同じく無料ですか?
はい。Maccyはオープンソースで、GitHubからのダウンロードやHomebrewでのインストールは無料です。Mac App Store版は、開発を支援するための有料オプションです。
JumpcutとMaccyを同時に動かせますか?
技術的には可能ですが、どちらも同じクリップボードを監視し、それぞれ別の履歴を持つため、重複が増え、覚えるホットキーも2つになります。1日ほど並行して使い比べたら、どちらかを終了しましょう。
Maccyはクリップボードをクラウドに保存しますか?
いいえ。Maccyは履歴をMacの中だけに保存し、どこにも同期しません。
Maccyにパスワードを保存させないようにするには?
「設定 → Ignore」にパスワードマネージャを追加してください。また、Maccyはアプリが秘匿(concealed)や一時的(transient)とマークしたクリップボード項目をスキップします。信頼できるパスワードマネージャの多くは、そのマークを付けています。
まとめ
JumpcutからMaccyへの移行は、小さな変更ですが、効果は意外とはっきり出ます。クリップボード履歴が長くなるほど、スクロールより検索のほうが圧倒的に楽だからです。操作が手に馴染むまでは1日ほど見ておきましょう。機密性の高いものをコピーする前に無視ルールを設定し、毎日のように貼り付ける定型文を3つピン留めしておくのがおすすめです。あなたなら、最初にどのクリップをピン留めしますか?
